喫煙と歯周病

Q)健康増進法施行され、『公共の場は全て禁煙または完全分煙の措置を講じなければならない』、『受動喫煙の防止』などが義務づけられましたが、詳しく教えて下さい。

A 平成7年に「たばこ行動計画」の中で、「未成年の喫煙防止」「受動喫煙の影響を減少・防止させるための環境づくり」「禁煙希望者に対する禁煙サポート」 を三本柱として、喫煙と健康に関する正しい知識の普及を中心とした施策が講じられてきました。

Q)十勝では、どの様な状況ですか。

A 十勝では、帯広保健所が主体となり医師会・一般社団法人 十勝歯科医師会・労働基準監督署・十勝教育局などで構成される「禁煙・分煙による地域の健康づくり事業」の中の事業の一つとして「禁煙教室」が行われ、帯広市と芽室町がモデル地区に選ばれています。また帯広市内の小中学校施設内全面禁煙化、厚生病院も館内は全面禁煙です。 女性の喫煙者は年々僅かに増加傾向にありますが、驚くのは男性の喫煙率の高さです。欧米諸国にくらべると、日本の男性のタバコ好きはきわだっています。米国の30%、英国36%という数字と比較すると、日本人男性は無類の喫煙民族といってもよいでしょう。 そして、たばこ関連疾患による死亡者の増加、それに伴う医療費の増大などが問題になってきています。

Q)新聞・テレビなどで医療費の増大がクローズアップされていますが、喫煙は医療費の増大に拍車かけているのですね。最近、若い方、特に女性の喫煙率が上昇していますよね。

A 大きな問題ですね。妊婦の喫煙は胎児にとっては強制喫煙となり、流産、早産、死産、低出生体重児、先天異常、新生児死亡などの危険性が高まります。妊娠中にお母さんがタバコを吸うと生まれてくる赤ちゃんが小さな赤ちゃんが生まれると言うデータがあります。 また、うまれた後のお母さんの喫煙による受動喫煙で、乳幼児の喘息様気管支炎、乳幼児突然死症候群の危険性が高まります。

Q)タバコの成分のお話をして下さい。

A たばこの煙の中には、4000種類以上の化学物質が含まれ、そのうち約200種類は有害物のうち約40種類が発がん性物質と言われています。中でも毒性ランクでは第6位の猛毒のニコチン・タール・一酸化炭素を三大有害物質で、ニコチン:青酸よりも毒性が強く、乳幼児の場合に致死量は10mg~20mgで1本のタバコを誤って食べてしまうと死亡する可能性があります。

子供がタバコ1本を誤って食べてしまったら死んでしまうんですか。

A タバコ誤飲(誤食)の事故はダントツに多いのですが、幸いなことにタバコの事故で重症になられたり、死亡する患者さんは極めて少ないのです。ニコチンが強い嘔吐作用があるため、食べてもすぐに吐いてしまう事と、胃の中のように酸性だと溶けにくいという性質を持っています。ニコチンは代謝され易く、1日以内にすべておしっこと一緒に排泄されてしまうのです。
こうした理由で、タバコの事故で重症になることは少ないのですが、『タバコの煮汁』での事故は要注意です。ニコチンは水に大変よく溶けるので、タバコが浸してある水の中には多量のニコチンが染み込んでいて、この水を飲んでしまうと大変危険なのです。吐かせて口をすすがせたら、必ず医療機関を受診してください。
そして、タール、いわゆる”ヤニ”と言われる発癌性物質と一酸化炭素、これはニコチンと共に、末梢血管を収縮させ、血圧を上昇させます。

Q)でも、タバコを吸っていない方は安心、関係ないですよね。

A そうでは無いんですよ。 タバコを吸わない人が、吸っている人のそばにいて、タバコの煙を吸ってしまことを「受動喫煙」(パッシブ スモーキング)と言いますが、実は有害物質は、信じられないことに「副流煙」の方が2.8~4.7倍に多く含まれているのです。つまり、タバコを吸っている人よりも、近くでタバコの煙を吸っている方の方が悪影響を及ぼすと言うデータもあります。 ご主人がタバコを吸う場合、喫煙しないご主人を持つおくさんに比べて、おくさんの肺ガン死亡率が1.5倍も高いということがわかっています。

Q)『日本ほど、タバコの喫煙率が高い国は、他の先進国にくらべても類を見ない』と話されていましたが、全身への影響はどうでしょうか。

A 喫煙は単独で、癌の原因の約30%を占め、全身の多くの癌にかかる危険性が高まります。また膀胱癌、膵臓癌、子宮癌など、タバコが直接接触しないと思われる部位の癌も危険性が高まります。
全身の動脈硬化が起こり、心筋梗塞、狭心症、大動脈瘤、脳血栓、クモ膜下出血などの危険性が高まります。 さらに、高血圧症や高脂血症が加わると、危険性は相乗的に高まります。
慢性気管支炎、肺気腫、自然気胸などの危険性が高まります

Q)タバコは全身の健康にとても有害である事は分かりました。歯周病にとっても最大の危険因子であると聞きましたが。その辺はどうですか。

A 一般にタバコを吸う人は、吸わない人に比べ3倍も歯周病にかかりやすく、また2倍も多く歯を失っているという報告があります。また喫煙本数と比例して歯周病が重症化することも分かっています。厚生労働省の調査では、喫煙者の歯は、時期的にも早く本数も多く失われることが、統計にも明らかになっています。喫煙は、歯周病のリスクファクターになっていて、難治性の歯周病患者には喫煙者が90%以上の確率で関与していると言うデータがあります。歯が抜けやすくなり、ヘビースモーカーは入れ歯を使用している方が多いようです。

Q)どうしてタバコが歯周病を悪化させてしまうのでしょうか?

A 理由は、タバコに含まれるニコチンが歯ぐきの血液の流れを 悪くするためと考えられます。歯ぐきに酸素や栄養が行き渡らず、歯ぐきの抵抗力が弱まるためです。またタバコによって唾液の分泌が抑えられるため、口の中が不潔になりやすく、歯垢や歯石がつきやすくなり、歯周病を増悪させます。『タバコを止めないと歯周病は完全に治らない』と言い切る歯科医師もいます。

Q) タバコを止めたら歯周病は治るんですか。

A タバコをやめたからといって現在ある歯周病が自然に治るわけではありませんが、タバコをやめ、正しいプラークコントロールを行い適切な歯科治療を施すことで、歯周病を大幅に改善させることが可能なのです。

Q)歯周病の他に、口の中に及ぼすタバコの害には何がありますか。

A 第1に口腔癌が挙げられます。ガンの発生部位は舌が62.9%と最も多く、直接喫煙の刺激がある部分で、タバコに含まれる有害物質が原因と考えられています。5~15%が癌化するといわれている白板症になり易かったり、 メラニン色素沈着症と言って、歯肉や粘膜が黒ずんでくることがあります。また歯の着色(いわゆるヤニ)や、口臭、味覚・嗅覚の低下、ドライマウスを引き起こすと言われています。 最近行われている、インプラントに関してですが、インプラント失敗例では喫煙者 11.3% 非喫煙者 4.8% の報告あります。

Q)タバコは口臭にも関係あるんですか。

A タバコを吸っている人は、あたりまえのことですが独特の口臭がします。タバコ自体による臭いと、歯周病や唾液の減少があります。歯ぐきの血行が悪くなり、歯周病を悪化させ、強い口臭になり場合があります。 職業柄、喉頭がん手術で気管切開しても、たばこを止められず、のどで喫煙している女性の話を聞きます。煙がのどから出てきて漂っている。また、「道を歩けば自動販売機に当たる」というほど、タバコの自動販売機が至る所にあり、コンビニに行けば、24時間タバコを買うことができます。タバコのパッケージの表示にも、日本は「健康を害するおそれがあります」とあいまいな表現が書かれていますが、他国では、はっきりと「健康を害する」「あなたを殺す」と言い切っています。 禁煙は、口腔ガンのリスクも減り、口臭が減り、食べ物がおいしく感じられます。利点をあげれば数えきれません。タバコをあきらめますか?それとも一生分の楽しくおいしい食事をあきらめますか?先進諸国の中で日本はまだまだ喫煙率が高く、これを機に喫煙に対し今一度考えられては如何でしょうか。

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