唾液の役割って!?

Q)唾液って、普段はほとんど意識したことはないのですが、一日平均でどのくらい出ているものなんですか?

A)通常健康な人で、1リットルから1.5リットルがくらいの唾液が分泌されています。その一日の中でも、午後3時位にピークがありますし、季節では春が分泌速度が高いと言われています。又、安静にしているときは、0.3ml/分、刺激されると1.5~2ml/分と変動します。そして、寝ているときはほとんど分泌されません。

Q)唾液はどこで造られているのですか?

A)大きくは両頬(ホホ)の耳周りにある耳下腺(じかせん)、顎の下にある顎下線、舌下腺の3つが主です。出てくる場所は、上の大臼歯のそばと、舌の下にあるヒダの前後くらいから分泌されてきます。又、少量ですが上顎(うわあご)や、頬や唇の内側など、直接粘膜からの分泌もあります。

Q)もし仮に、分泌されなくなったりしたら、大変ですよね?

A)まず、しゃべることが困難になり、食事もまともに出来なくなります。すべて、流動食になるでしょうね。

Q)唾液が分泌されなくなったら、どんな症状が出るのでしょうか?

A)口の中はいつもヒリヒリ、焼け火箸をくわえている感じでしょう。また、口の中は悪臭の発生源の元になり、カビの膜が作られどんどん衰弱していくでしょうね。
これと似た状態は、ガンなどに対して放射線療法を受けた場合に起こります。放射線の副作用として唾液腺の機能障害が起こり、十分な唾液が出なくなり、食事などの特別なケアをしていくことになります。

Q)唾液というのは、もともとどんな働きがあるのですか?

A)発音や会話をスムーズにさせる円滑作用と、食べ物を洗い流す洗浄作用などが含まれています。また、消化器という一番最初の部分ですから唾液に含まれている酵素によって、でんぷんが分解される消化作用、味物質を溶解させ、味覚を促進させる溶解作用、病原性微生物に抵抗する抗菌作用、まだまだあるんです。

Q)抗菌作用って、よく昔から「傷口にはツバでもつけておけ!」と、聞くことがありましたが、関係あるのですか?

A)昔からの智恵って、素晴らしいですね。唾液は実際、細菌に作用する物質が含まれているんですよ。細菌の細胞膜を破壊するリゾチームや、細菌の代謝を阻害するペルオキシターゼとか、細菌の発育を抑制するラクトフェリン、更に、免疫に関係している免疫グロブリンなどがあります。
それと、今言ったペルオキシターゼは、発癌抑制に高い効果がある事も認められました。ですから、食べ物を長く唾液に接触させることが、予防になるわけですから、その為には噛む回数を増やせばよいことになります。ということは、ゆっくり時間をかけて、食事することが大事であり、基本となってくるわけです。

Q)その他にも、何かまだあるのですか?

A)さっき言いました『傷口にツバを塗る』と言うことは更に別な効用もあるんですヨ。キズなどからの出血を止める作用を持ったものもあります。血管の壁や血小板に存在する血液凝固因子である「トロンボプラスチン」に似た物質や、EGFという皮膚や粘膜を成長させキズを早く治せる物質も含まれているんですよ。唾液って、すごいでしょう? 働きもすごいのですが、縁の下の力持ちで普段は気付かないままだけなんですネ。それと自分の置かれている状態によって、分泌方法も随分と変化しますよ!

Q)どんな風に変化するのですか?

A)実は神経支配によって大きく変わるんですね。「自律神経」という言葉は、良くお聞きすると思いますが、交感神経と、副交感神経に分かれていまして、ゆったりと食事をしているときには、消化のために良いサラサラした副交感神経による唾液がたくさん分泌されます。逆に、イライラしたり、ドキドキしたり感情の起伏がある時などは、サラサラな唾液は出なくなり、ネバネバした交感神経支配の唾液に変わると共に、絶対量も極端に減り、食事や発音にも影響が出てきます。食べてもパサパサで味気なく、さっぱり美味ではありません。講演会などでお話をするときに、机の上に水差しが用意されているのは、そのためなんですよ。

Q)歯科的にも唾液は大きく関係していると聞いたことがありますが?

A)
歯と歯周にとっては大変重要な役割を持っています。歯そのものに対してはむし歯予防の元になる歯の表面にあるエナメル質の常時行われているアパタイトによる再石灰化作用、歯周、いわゆる歯肉と歯の境目などの健康の保持にも欠かせないものです。とにかく広い範囲にわたって重要なことと再認識しました。 唾液の研究は今後、益々進むと思いますが、最も大切なことは、食事くらいはこの忙しい現代社会であるからこそ、ゆっくりとって頂き、その他の時間においても交感・副交感神経である、自立神経のバランスを大事にする生活習慣を心がけて頂きたいと思います。

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