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第9話 視力低下を防ごう

21世紀は積極的な健康増進、より総合的な健康を目指す時代と考え『口腔機能と全身』をテーマにしました。
(一社)一般社団法人 十勝歯科医師会 口腔機能研究会

よくかみ顔面筋強化で効果

近年、日本人若年層の視力は著しく低下していると言われています。生活が豊かになり、栄養豊書な時代になったにもかかわらず、若者の視力底下は増え続けています。昭和二十年代に生まれた人たちの十七歳時視力は1・5に鋭いピークがありましたが、昭和三十年代生まれの人は1・5と0・1との二つのピークに分かれ、昭和四十年代生まれにいたっては1・5のピークが小さく、0・1が大きく示されるようになってきたのです。

島田彰夫宮崎大学教授の調査、研究によると、正常視力の青年は六歳時視力が1・0前後で、徐々に年齢を重ねるに従って向上、十七歳時には1・5かそれ以上の値を示します。

しかし、青年低視力者を見ると、六歳時は1・0前後で変わりなく、七歳時までは少し上昇するのですが、八、九歳ごろから急激な低下が見られ、十七歳時には0・1前後まで低下するというのです。
 ブラジルでの調査結果では、六歳時では日本における正常視力者と同程度ですが、十七歳時には2・0前後か、それ以上の人も珍しくなかったのです。日本人若年層に見られるような視力の低下傾向は認められていません。

 視力の強弱は水晶体(目のレンズ)を調節して遠近の焦点を合わせることで決まります。そのレンズの調整をするのは毛様体筋(もうようたいきん)で、毛様体筋の筋力低下が、低視力の大きな要因のひとつと考えられます。

その筋力を低下させないようにすれば、視力低下を防くことができるわけです。筋肉は通常、単独に一種類だけを鍛えることはできず、連動する筋肉の同時強化が重要になります。毛様体筋に連動する筋肉は顔面筋(主として咀嚼=そしゃく=筋群)です。よくかみ、表情を豊かにすることが毛様体筋の筋力増強に最も効果的なのです。最近の食事の傾向は、ファーストフード食品に代表されるように、やわらかくのみ込みやすい食品が増えています。特に若者は飲料水などで流し込むことが多くなる傾向があります。かむ回数が少なくなると、顔面筋の筋力は弱まる傾向にあり、それが視力にも影響していると考えられています。
  ですから、かみごたえのある食品を、語らいながら、楽しく、ゆっくりとかんで食べることが視力低下にならない秘けつなのです。
  (一般社団法人 十勝歯科医師会口腔機能研究会)

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