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第7話 唾液と免疫

21世紀は積極的な健康増進、より総合的な健康を目指す時代と考え『口腔機能と全身』をテーマにしました。
(一社)一般社団法人 十勝歯科医師会 口腔機能研究会

分泌成分で有害菌が減少

免疫の主な役割は、体内に入ってくる細菌や毒を無害化すること。 すなわち外敵から身を守る事にあります。

免疫と聞いてすぐに頭に浮かぶのは リンパ球ですが、広い意味で体を守るものとしては、体表面を覆い、バリアーの役目を 果たしている皮膚が挙げられますし、消化管も口腔(こうくう)から肛門(こうもん)にいたるまで粘膜で保護されています。

ヒトは生きて行く為に外界から二つのものを取り込んでいます。

ひとつは鼻腔から入る空気(酸素)もうひとつは口から入れる食物(栄養)です。空気や食物中には、たくさんの細菌や毒物が含まれており、それから身を守る役割を果たしているものの一つが 鼻汁や唾液なのです。さらにのどの奥には多くのリンパ組織があり、入ってくる空気や 食物を浄化します。多量の唾液は、細菌や毒物を薄めますし、食べ物を溶かし味を感じやすく させます。味覚は甘いものやおいしいものを食べたいという栄養摂取の欲求を伝えるだけでなく 、酸味や苦みが腐敗物か毒物かもしれないという警告の信号を発する場合もあります。このように 、広い意味での免疫は有害なものを体内に入れないように働き、簡単に病気や中毒を起こさないように なっています。
唾液には多くの成分が入っています。その中のラクトフェリン、リゾチーム、ヒスタチン、 IgA(すべてたんぱく質)には、殺菌、抗菌作用があり、人体に有害な細菌を殺したり、増殖しないように働きます。さらに、唾液が胃の中に入ると、その刺激で胃液(強酸性)の分泌が促進されます。そこによくかみ砕かれた食物が少量ずつ入っていくと、強酸のために ほとんどの細菌は死滅しますので、ゆっくりかんで食事をとることは食中毒などの防止にも 効果があります。国立がんセンター研究所化学療法部長、津田洋幸氏は母乳(特に初乳に多い)や唾液に含まれるラクトフェリンが大腸がんの発生を高率で阻止したとの研究結果を報告 しています。また、ラクトフェリンにはがん細胞やウイルスを直接攻撃するNK(ナチュラルキラー)細胞を増やす働きがあるとも考えられています。しかし、唾液に含まれているラクトフェリンは微量ですから、よくかんでたくさんの唾液を出す事が必要になるのです。

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