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第8話 歯周病の予防

なぜ予防が大事なの?

歯周病は歯のもつ機能を低下させ歯を失う原因になりますが、実はそれだけでなく体の器官にも影響を与え、いろいろな病気の原因になるといわれています。歯周病の予防が大切なのはそのためなのです。
歯周組織の健康は、細菌からつくり出されるものと体の防御力のバランスが保たれた上で成り立つと考えられています。つまり体の防御力より細菌をうみだす病気のもとが強くなった時には病気が起こりますし、重い病気などで体の防御力が低下した時にも病気が起こるのです。ですから歯周病の予防法には細菌のつくり出すものをできるだけ少なくすること、体の防御力を低下させないことが考えられます。

防御力の低下を防ぐには?

体の防御力の低下を防ぐには何が必要でしょうか?歯周組織も体の一部ですから体全体の健康について注意することが必要になります。
まず栄養のバランスがとれた食事を取るようにしましょう。歯周病を予防するのに特別な食べ物や特殊な薬は残念ながらないのです。
また糖尿病のような生活習慣病、喫煙、そしてストレスに対しては日頃からの注意が必要です。血液疾患、糖尿病のような体の病気、喫煙、ストレスなどは、体の防御力を弱める原因として報告されています。

細菌の数を減らすには?

歯の表面に付着しているプラーク中の細菌は歯肉炎症の引き金になっていることはお話ししました。この細菌の数を出来るだけ少なくすることが歯周病予防にとっては大事なことです。言い換えればプラークコントロールが重要なのです。歯肉が健康な場合、プラークの大部分は歯肉縁上プラークだといえるでしょう。歯肉縁上プラークは歯の表面を機械的に擦ることで自分で取り除くことができます。

歯ブラシの選び方

みなさんは歯ブラシを選ぶ際に何か気を付けていることはありますか?プラークコントロールに欠かせない歯ブラシ選びはとても大切です。合わない歯ブラシを選んで歯肉を傷つけてしまったり、プラークが十分除去できなかったり、なんてことがあります。図1のように、市販されている歯ブラシには色々な種類がありますが、
1.毛の長さ(B)が長過ぎるものや短すぎるもの
2.毛の硬さが硬すぎるものや非常に柔らかいもの
3.毛の植えてある部分(A)の長さが長いもの
4.毛が植わっているところと柄の先端との距離(C)が長いもの

はできるだけ避けて選ぶのがよいでしょう(図2)。


(図1)


(図2)

歯ブラシはマメに交換しよう

歯ブラシは長い間使用しているとブラシの毛が開いてきます。図3のような状態になるとプラーク除去の効果は半減してしまうので、マメに交換してください。歯ブラシを後ろ側からみても毛先が飛び出てみえるようなら、さっそく歯ブラシを買いましょう。

まだまだプラークは潜んでる!

歯ブラシだけでも歯の表面はかなりきれいになりますが、まだまだ油断はできません。歯と歯との間の歯面にはかなりの量のプラークが残っているのです。ここに潜むプラークを取るにはデンタルフロスや歯間ブラシなどの歯間部清掃用具を使用します(図4)。プラークコントロールには歯ブラシと歯と歯との間の清掃用具を併用することが大切です。
歯と歯との間の歯肉が下に下がっておらずすき間のない場合にはデンタルフロスを使います。歯間ブラシを使用すると歯と歯との間の歯肉が下がりすき間ができてしまうので絶対に使用しないでください。デンタルフロスを歯と歯との間に入れ、歯と歯の歯面を擦るようにしてプラークを取ります。ただしデンタルフロスは使い慣れるまでに時間がかかります。
歯と歯との間の歯肉が下がりすき間が見える場合には歯間ブラシを使用します。歯間ブラシはすき間とほぼ同じ太さのものを選びましょう。歯と歯との間に入れ、2つの歯面を擦ります。歯間ブラシの使用に時間はかかりませんが、無理やり歯の間に入れると歯肉が下がってすき間が大きくなったり、歯間ブラシが折れることがあります。

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