第2話 歯と歯周病組織について

歯は脊椎動物のなかでも、鳥類を除けば軟骨魚類以上の大部分の動物に認められます。 哺乳類においてはナガスクジラなど一部を除き、それぞれの動物種によって一定の数と形態を整えた歯が顎骨に釘植という方式で固定されています。
ヒトの歯は二生歯性で、生後まもなくして生えてくる乳歯20本と、それと交代して学童期に生えてくる32本の永久歯があります。ただし永久歯32本のうちで20本のみが乳歯と交代するもので、残りの12本は1回だけ生えてくる、いわゆる一生歯性です。 ヒトの歯はその外形から大別して、乳歯では切歯、犬歯、臼歯の3種が、永久歯では切歯、犬歯、小臼歯、大臼歯の4種があります(第1話参照)。歯の構造はエナメル質、象牙質、セメント質という3つの硬組織と、その内部に血管や神経などを含んだ歯髄という組織からなっています。また歯を支える組織群を歯周組織と呼び、歯肉、歯根膜、セメント質、歯槽骨の4つに分けられます。

エナメル質

歯の頭の部分(歯冠)を覆う人体でもっともかたい硬組織で、モース硬度計では6-7度に相当します。エナメル質が形成された後は、生きた細胞が無くなるため、一度失うと2度と再生しない組織です。

象牙質

歯の主体をなす硬組織で、歯冠部はエナメル質に、歯根部はセメント質に覆われ、内部には歯髄を入れています。象牙質はエナメル質よりもやわらかく、骨よりもやや硬いが弾力性があるので、表面にある脆いエナメル質の破折を防ぐ柔軟性を持っています。歯髄が生きている限り常に生きている組織ですが、歯髄が虫歯などで死んでしまうと、象牙質は水気のない枯れ木の様になってしまいその弾力性を失います。これは神経のない歯が折れやすい原因の一つです。また特徴的な構造として、象牙質には内側(歯髄側)と外側(歯の表面側)を貫くチューブ状の管(象牙細管)が無数に走っており、そのチューブの中に歯髄(神経)の突起が進入しています。虫歯がエナメル質の範囲までだと痛くないのに、象牙質まで達すると痛くなったり、歯肉が下がって知覚過敏でしみたりするのはこの構造のためです。

セメント質

歯の根の部分(歯根)の表面をおおっている骨に良く似た硬組織です。後述の歯根膜の線維を内部に封入して歯を歯槽骨に固定する役割を果たします。

歯髄

歯の中心に存在し、血管や神経が走っています。主な働きとしては象牙質の形成と栄養補給で、その他痛みの伝達です。虫歯などで歯がしみるのはこの神経があるためですが、それは虫歯という危険を人体に知らせてくれるサインなのです。

歯肉

歯の頚部を取り囲んで歯を支えるとともに、歯の周りの骨を覆う役目を持ちます。また口腔内というのは軟組織である歯肉から硬組織である歯が突き出ているという人体のほかには無い特殊な部位です。歯肉と歯との境目は非常にデリケートな部分であり、歯周病を引き起こす細菌の生体内への進入を阻止する最初の関所であります。

歯根膜

歯根を取り囲んで歯を歯槽骨に結合する組織です。歯は直接骨(歯槽骨)にくっ付いているわけではなく、この歯根膜を介して植立しています。歯は歯根膜の中にある線維によって歯槽骨の中でハンモック状に植立しており、これは咬合時のショックを和らげる働きがあります。また食事などで噛み応えを感じるのは、歯根膜の中に圧センサーがあることが大きく関っています。

歯槽骨

歯根の周りにある骨で、歯根膜の線維を骨内に封入して歯を歯槽骨に固定しています。

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