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卑弥呼の歯がいーぜ

Q)『卑弥呼の歯がいーぜ』って、何かの標語の様な感じがしますが。

A)「日本咀嚼学会」では、咬むことの大切さを考え、1990年に「ひみこのはがいーぜ(卑弥呼の歯がいーぜ)という標語を紹介しています。

Q)弥生時代、邪馬台国のあの『卑弥呼』の事ですよね。卑弥呼の時代の食事はどうだったんですか。

A)斉藤 滋神奈川歯科大学教授によると、邪馬台国の時代の食事時間は51分、現代が11分で1/5に、咀嚼回数は邪馬台国時代は3990回、現代は620回と、実に1/6、とても時間も回数も少ないと話されています。

Q)現代人は気ぜわしいせいか、食べることはとても大切なのに食事の時間を大切にしない、そんな傾向を感じますよね。

A)「医食同源」と言う言葉があります。楽しくそして良く噛むことは、それ自体が薬なのです。そしてそれが健康に繋がります。

今から100年位前のアメリカで、 良く噛んで30キロも減量に成功したという「フレッチャーの噛む健康法」が日本にも伝わっています。

陽気で働き者のフレッチャーさんは、商売が成功してお金持ちになりました。お金持ちになったフレチャーさんは、朝・昼・晩フルコース、デザートたっぷりの食生活をして、良く噛まずにおいしいものばかり食べていました。ところがある日、鏡に映った自分の顔は、青白く、ブヨブヨ太った、いかにも不健康な人に変身しているのに気がつきました。食欲もない、体もだるい、気分も悪い、働くことさえおっくうになっていいことがありませんでした。 そんな時、一軒の家族の食事風景に出会いました。質素な食卓でしたが、家族4人は、実に楽しげに一品ごとしっかり噛んで味わって食事をしていました。噛んで味わう幸せを教えてもらったフレッチャーさんは、その後よく噛んで食べることを心掛けて、すっかりスリムな元の体と元気をとりもどしたそうです。

Q)よく咬む事、楽しく食べる事は大切なんですね。

A)フレッチャーさんの咬む健康法は、本当におなかがすいた時に食事をとり、なんでも良く咬み、口の中でとろとろになり自然に飲み込まれるようになるまで咬むというものです。

Q)健康増進法が施行になりましたが、『咬む事が最高の健康増進法』なのですね。

A)その通りです。

Q)良く咬むと、どのような効果が得られますか。

A)『卑弥呼の歯がいいぜ』に沿って順々にお話しします。始めに『卑弥呼』の『ひ』ですこれは『ひまん』の『ひ』です。よく咬む事は肥満防止に繋がります。食事は一口最低30回と、よく噛んで食べれば、脳に情報が送られ満腹中枢を刺激して、食欲を抑え肥満防止になります。つまりダイエットの効果あります。

Q)すると次は『み』ですね、『み』は何ですか。

A)『味覚』の『み』です。よく咬んでゆっくり食べれば、味の微妙な変化に気付き、味覚の発達を促します。

Q) 次は『こ』ですね、『こ』は何ですか。

A)『言葉』の『こ』です。よく咬めば、顎の骨や筋肉を発達させ、歯並びがよくなり、歯切れのよいハキハキした言葉の発音になります。

Q)『の』ですね、『の』は何ですか。

A)『脳の活性化』の『の』です。咬む運動は、大脳皮質を刺激して脳の活動を活発にします。これにより記憶、思考力、集中力を高め、老化やボケを防止します。

Q)あと4つですね、『は』は『むし歯』の『は』ですか。

A)よく咬んで唾液を出すことにより、歯の病気、『むし歯』『歯周病』更に『口臭』を防ぐことができます。最近の子どもや若者は細身の顔立ちが増えています。これは、しっかり咬まないため顎が充分に発達しないからです。顎が小さいと、歯並びが悪くなってムシ歯や歯周病の原因になります。

Q)『が』は何ですか。

A)ガンの予防です。よく咬むと唾液がふえ、その中のぺルオキシダーゼという酵素の分泌量も増加し、発ガン物質を抑えてくれます。

Q)『い』は何ですか。

A)よく咬む事は胃腸を快適にします。咬む刺激は、脳に伝えられ、迷走神経を経て、胃液の分泌を促す指令を出します。逆に十分に咬まないと胃液の不足から消化不良を起こします。食物の消化を助け、栄養素の消化吸収効率を高めます。

Q)最後は『ぜ』ですね、これは何ですか。

A)『全身』の『ぜ』です。少しずれますが、『硬い物を噛み砕く爽快感』はストレスを解消につながります。ムシ歯や歯周病で十分に咬めないと、胃腸障害から全身の健康トラブルを起こします。咬む力の強さは体力向上の基本条件です。

Q)咬むことは確かに健康につながる基本と言うのがよく解りました。

A)補足ですが、シワの予防になりますよ。年をとると現れる顔や口元のしわの原因の一つに顔の筋肉や骨の衰えがあります。よく咬めば顔全体の筋肉と骨が動かされ鍛えられるのでシワの予防になります。
飲酒や喫煙もほどほどですね、と言うのはお酒を飲んだ時、酔っぱらって歯を磨かずに寝てしまうケ-スもあるからです。よく咬む目安は30回と言われます。意識して咬むのはなかなか大変かもしれません。しかし慣れてしまえば以上のような効果が出て、健康維持ができQOL(生活の質)の向上をはかることができます。

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