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第4話 スポーツは歯が命

21世紀は積極的な健康増進、より総合的な健康を目指す時代と考え『口腔機能と全身』をテーマにしました。
(一社)一般社団法人 十勝歯科医師会 口腔機能研究会

咬合力高め運動能力向上

人の体には必ずゆがみがあり、重心が片寄っているため、 安定させようと筋肉は絶えず活動しています。脊(せき)柱は重い頭を支えているのでS字状にわん曲し、さらに微妙に働いている全身の筋肉がバランスを保つのです。ですから、頭の傾きや 上下顎の位置関係が全身の筋肉に大きく影響します。

元プロ野球監督の近藤貞雄氏は「長く選手を続けたければ歯を大切にし、歯を丈夫にしろ」と最初に言うそうです。歯は力を出したり、集中力を高めるために大切で、体力づくりの基本だと話しています。
短距離界の王者カール・ルイスは記録のため歯並びを矯正し、大リーガーのマグワイヤは「二年連続ホームラン王がとれたのは、いい歯のおかげだ」と言ってます。

明海大学の安井利一先生の研究によると小学生の運動能力とウ歯数(ムシ歯にかかっている歯の数)、奥歯のかむ力(咬合力=こうごうりょく)、かむ接触面積と比較したところ運動能力が劣っている子供はウ歯数が多かったり、咬合力が弱く、成人の比較では歯の数が少ない人ほど、選択できるスポーツの種類が少ない傾向にあります。かみ合わせが悪い場合などはマウスピースで補整することもあります。スピードスケート金メダリストの清水宏保選手は、スポーツ歯学研究班石井恵一先生の作製したマウスピースを装着し練習に励んだ結果、W杯カルガリー大会で35秒39の世界新記録を樹立し、長野オリンピックにつながりました。
咬合力を高め、かみ合わせを良くし、全身のバランスを整えることは、最低のエネルギー消費で最大の効果を上げる事になり、スポーツ選手の良い成績につながります。さらに、体に無理がかからなくなるので、体を壊す原因も減少していくのです。このようにスポーツ能力を発揮させるには歯が大切ですが、当たり前過ぎて忘れがちなことと言えそうです。

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