第12話 口呼吸は体に悪い

21世紀は積極的な健康増進、より総合的な健康を目指す時代と考え『口腔機能と全身』をテーマにしました。
(一社)一般社団法人 十勝歯科医師会 口腔機能研究会

弊害多く、いびきの原因にも

このシリーズでは、よくかみ、口腔(こうくう)を大いに使うのが全身の健康に良いことを中心に述べてきましたが、最終稿の今回は逆に口を使ってはいけないことに触れてみることにしました。

活気や活力は元気な状態を表現する言葉です。その″活″という字は舌が水で潤うことを意味しています。そうなのです。口腔内が乾くことは元気ではないことなのです。
人間は進化の過程で、咽喉(いんこう)頭部が垂直に近くなり、気管入り口が下がったことで、スペースが出き発声が可能になりました。咽喉が広がって発声のバリエーションが拡大したことと大脳が発達したことにより、人間の知能は発達し、言葉を獲得できたのです。
言葉を獲得した進化の過程で、人間は口呼吸ができるようになりました。常習的に口で呼吸できるのはほ乳頬(約四千五百種)では、幼児期(一歳児くらい)以降の人類だけに限られます。本来鼻呼吸であるべき動物の人類が、口呼吸をすることによりさまざまな弊害を引き起こしています。
呼吸は肺で酸素と炭酸ガスを交換する生理行為です。効率よくガス交換ができるためには100%近い十分な湿度と適温(体温)が必要です。そのためには、吸気は鼻腔を通過しなければなりません。
さらに、鼻腔は肺に達する空気の関門として、ほこりや細菌、ウイルス、そして有害なガスや微粒子までもを粘膜や繊毛で捕らえ鼻汁として排出します。しかし、浄化装置のない口で呼吸すると汚染された空気はそのまま肺に入り体内に行き渡ります。

また、口呼吸をしていると空気と一緒に吸い込んだ細菌やウイルスが口腔、咽頭周辺にある五つの扁桃リンパ組織(扁桃腺=せん=など白血球の造血器)を直撃するとともに、リンパ組織が乾燥すると不顕(けん)性感染を起こし、のどの痛み、花粉症、喘息(ぜんそく)やアトピー性疾患など人間に特有の免疫疾患をもたらします。

このほか、舌の乾燥による味覚障害や加湿や清浄といった鼻の機能低下、臭覚障害をも起こします。

口での呼吸はいびきの原因にもなり、睡眠時無呼吸症候群を起こし重大な結果を招くこともあります。
口呼吸は日本人に多く見られ、欧米人には少ないのです。東京大学の西原克成講師は「日本の赤ちゃんは離乳時におしゃぶりをやめさせるが、欧米のように三、四歳くらいまで使わせたほうが良いだろう」と話しています。口呼吸の防止法は、夜寝るときに紙製粘着テープを唇の両端に張ったり、無糖のガムを唇を閉
ざしてかむことが手軽で効果的です。

(一般社団法人 十勝歯科医師会口腔機能研究会)

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