介護を要する方

Q)介護を受けられている方の口の中の話についてお聞きします。

A)歯科の分野も最近は幅広く、患者さんの健康を守っていこうとしています。
従来、歯科治療というと診療室まで歩いて行かないと受けられない、と言うイメージでしたが、最近は歯科の分野でも往診が行われております。そして、診療室まで来られないような介護を受けておられる方にも、お口の健康管理が大事だと認識して頂けていると思っています。

Q)介護を受けられる方のお口の健康管理には何を気を付ければいいのか分りませんが?

A)お口のケアが全身の健康に繋がるという意識を持って頂けるとありがたいです。
総論で言わせて頂きますと、障害を持った方は、やはり年齢とともに日常の生活動作が自立出来にくくなります。しかし口腔ケアを的確に行うことで生活の自立性を低下させないようにしていけるのです。

Q)難しくて良くわかりませんが、もう少し具体的にお願いします。

A)この場合口腔ケアと言う言葉の中には、
1. 口の中の環境を良くして
2. 口の中を清潔に保ち
3. 口から物を食べられるようにしていくという意味が含まれます。

特に今日は2番目の口腔清掃と、誤嚥性肺炎についてメインでお話ししたいと思います。

Q)誤嚥性肺炎とは何ですか?

A)漢字で書くと誤は誤るの誤、嚥は嚥下つまり飲み込むの嚥です。誤って飲み込むことで肺炎が起こると言うことです。
肺炎を起こすと高熱が出て、体力の落ちている方ではかなり大きな問題となります。事実介護を受けられるような障害を持った方の死亡原因は肺炎による物がかなりの割合をしめます。その肺炎の中の一つが誤嚥性肺炎なのです。

Q)子供がおもちゃでも間違って飲み込むみたいな気がしますが?

A)誤って飲むと言っても、それが胃ではなく肺にはいることで肺炎を起こすという意味です。動物はみな、体の構造上ノドのところで、空気を吸う気道と、物を飲み込む食道が隣り合わせに存在しています。特に人間は二つの道の交差が近くて、高齢者や、障害を持った方で、飲み込む時の反射が鈍くなると、本来食道にはいるべき物が、気道に入りやすいのです。

Q)ご飯が間違って肺にはいるとか?

A)確かに食事中にむせたり、なかなか飲み込めないでいつまでも口の中に物が残っているというのは誤嚥を疑うサインです。それにより肺炎を良く起こすようなら、食事の方法を考えるというのも口腔ケアです。しかし一番怖いのは食事の時は何ともなくても、食後に口の中に残った食物や不潔な口の中の細菌が肺に入り、肺炎を起こす場合です。

Q)食事のときは何ともないからと、目を離している内にということですか?

A)そうです。介護を受けられている方で嚥下反射・咳反射の低下した人は,睡眠中にいつの間にか誤嚥をたびたび起こし,この際,唾液とともに口腔内の細菌も同時に誤嚥するため,誤嚥性肺炎を起こすのです。

Q)介護を受ける方のお口の清掃とは、食後に口の中をうがい薬で洗い流せば?

A)いえ、やはり歯ブラシが必要です。自立して自分で出来る方ももちろんですが、多少手が不自由な方でも介護用品で便利な物がありますから、それを上手く使えば効率よくお口の清掃が出来ます。また寝たきりの方でも、きちんとブラシ等で綺麗にする必要があります。まず大きめのスポンジのついた物で大まかに食べカスを取り、その後歯ブラシを目安は2分行います。それから舌の上も必ずブラシで磨いてください、それが終わったら、さっと、うがいです。

Q)5分ぐらいかかりますか?

A)そうですね。全部で5分が目安です。それから義歯を使っている方は義歯の清掃も大切です。不潔な義歯は、口臭、義歯性口内炎、それに誤嚥性肺炎の原因になります。義歯を専用ブラシで磨き、義歯洗浄剤に付けておく必要があります。

Q)これが介護を受けている方の口腔ケアと言うことですか?

A)狭い意味ではそうですが、口腔ケアはもっと広い意味もあります。口の中の状態を良くして行くことで、食生活が改善し、体の機能が回復し、生きる喜びが見いだせる。
介護される側にとっても、介護をする側にとっても口腔ケアの先に幸せが待っている、そんなことを励みにして取り組んで行けたらいいかなと思います。

Q)より具体的な手技はどうしたらわかりますか?

A)最初に言いましたが、歯科でも訪問診療をしています。訪問して、お口の中の清掃を指導してくるだけでも訪問診療の一つだと思っています。出来るだけ、かかりつけの歯科医院さんをみつけ、先生や衛生士さんとよく相談しながら、訪問診療のシステムを上手く利用して行くことが、介護を受けられる方に取って良いことだと思います。

いつでも歯科医師会やかかりつけの先生に声をかけてください。

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